秋の味覚-柿(20081023)
2009-02-04
こんにちは、はりきゅう師の近藤琉水です(^^)
今日も秋味シリーズです。急がないと秋が終ってしまいます。
秋もまたおいしい果物がいっぱいですが、いかにも日本的な果物の代表といえば、
柿 ですね。
柿は英語でも kaki なんですよ、ご存知でしたか?
東アジア原産ですが、今では世界に広まって「ジュクジュクの kaki 大好き!」
というイタリア人に会ったことがあります。その方は kaki はイタリア語で、
イタリアの果物だと思い込んでいました(`0´)ノ
旬は秋、しかも晩秋ですが、性質は”寒”性なのです。
体を冷やすので、冷え症の方は要注意ですね。
ただ、「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われるほど、風邪の予防になったり、
二日酔いの解消に効果があったりするのです。
柿にはアルコールデヒドロゲナーゼという酵素があるのですが、
これは文字通りアルコールを分解する働きがあります。
ですからお酒を飲む前に食べる方もいらっしゃるのですが、
残念ながら、木の上で完熟させた柿にはその効果があるのですが、
市販のものは青いうちに収穫され、アルコールで脱渋されていますので、
その酵素が破壊されています。
だから、あんまり期待はできないのです・・・。
でも庭に柿の木がある方には朗報かもしれませんね。
昔の漢方の本にも、柿の効能に「解酒毒」とあるくらいですから、
古来、そういった目的で熟した柿は食されてきたのでしょうね。
豊富な栄養素は、ビタミンCとベータカロチンです。
これらは抗酸化作用があり、アンチエイジングの作用があります。
というと「毎日食べなきゃ!」と考えてしまいますが、
ちょっと待った!
確かにビタミンCの含有量は非常に多いのですが、
(1個で1日のVCの必要量を満たすそうです! これはみかんの2倍です)
前述の通り、”寒性”の食べ物です。
冷え症の方はもちろんのこと、胃腸の弱い方や、消化不良の方、
子どもさんや年配の方には不適です。
タンニンも含まれるので、貧血の方にも向きません。
食べすぎると胃に結石ができやすくなるそうですし。
とっても甘くておいしいのですが、不妊治療をされていらっしゃる方には
不向きな食べ物だといえますね。
ただし、のどを潤す作用がありますので、”陰虚”体質の方には
わりといいのです。「清熱止渇」という働きです。
いつも微熱があるとか、高血圧の方にもおすすめですので、
薬だと思って食べてみましょう。
生柿がだめなら他の手で。
まずは干し柿。柿は柿でも干すと性質も”平”になります。
そして「渋腸和胃」「涼血止血」といって、胃腸を丈夫にし、
下痢を伴う下血を止めます。
柿のへたは吐き気止め、しゃっくり止めになったり、
子どもの夜尿症の薬や、しもやけに塗る外用薬になったりします。
柿の葉は血圧や血糖値の降下作用やがあるので、高血圧症や、
動脈硬化などの生活習慣病の予防によいと思います。
あと柿渋をご存知の方もいらっしゃると思いますが、
打ち身、やけど、しもやけ、痔、虫刺されなどの外用薬になります。
ビタミンCの摂取を期待するのなら、実よりも柿の葉茶のほうが効率がよいでしょう。
そういえば、柿の葉といえば、奈良の柿の葉寿司が有名ですよね。
あれは、柿の葉に多く含まれるタンニンの抗酸化作用をねらったのでしょうね。
以前九十歳の女性の方が足が冷えて痺れると訴えられるのですが、
柿が大好物で、毎晩2個ずつ食べてると言われて驚いたことがあります。
足の症状は感覚がなくなるほどだったのですが、「これだけが楽しみで」との
言葉に「せめて1個にしましょうか・・・」としか言えませんでした。
それほどおいしいものなのですね。
とはいえ、これから少しずつ気温も下がり、冷え症の方には辛い季節の到来です。
大好物の方は、なるべく木の上で完熟したものを求め、
大事に一切れだけいただきましょう!
さて、次回は漢方薬についてのお話です。
どうぞお楽しみに。
それでは、また次号でお会いしましょう!