夏の味覚-いか(20090611)
2009-06-12
こんにちは。はりきゅう師の近藤琉水です(^^)
早くも入梅しましたね。紫陽花の季節です。
さて、今日はお刺身や煮つけの定番、イカのお話です。
日本の食卓でおなじみのスルメイカ、アオリイカは春から夏が旬です。
イカは軟体動物で、10本の足(手?!)があります。
実際は8本の「腕」と2本の「触腕(吸盤がたくさんついてるもの)」だそうです。
イカの血には銅たんぱく質のヘモシアニンが含まれているので青いんです。
我々脊椎動物の血は鉄たんぱく質のヘモグロビン入りなので赤いです。
血は赤いばかりじゃないんですね。
イカといえばコレステロール、というくらい有名ですが、
コレステロールが気になるからといって、イカを食べないのは間違っています。
コレステロールには種類があり、LDLといわれる悪玉コレステロールの
比率が高くなると動脈硬化などになりやすいためによくありません。
ですが、HDLという善玉コレステロールは、体内の余ったコレステロールを
回収してくれる働きがあるので、こっちが多いのは良いのです。
そもそもコレステロールは悪者扱いされることが多いのですが、
人間の身体にとっては必要な成分なんです。
成人で1日に必要なコレステロールは1~1.5グラム程度。
食品からも摂取しますが、その多くは体内で合成されるんです。
そして、「胆汁酸」になって食べたものの消化という大事な仕事をしています。
その他には、血液に溶けて身体中に運ばれ、細胞の壁になったり、
ホルモンの原料になったりします。
ですので、コレステロールが極端に少なくなってしまうと、
身体に悪影響を及ぼします。
コレステロールは身体中にある60兆もの細胞の膜の材料ですし、
女性ホルモンの材料でもありますし、
脂肪やたんぱく質の消化吸収を担う胆汁酸の材料です。
というわけで、コレステロールが恐いからといって、極端に避けないでくださいね。
ただし、多くなりすぎると、胆石になったりということもありますよ。
そして、コレステロールが多く含まれる食品を避けたとしても、
砂糖や脂肪から肝臓がコレステロールを合成します。
イカには他にもタウリンという成分が豊富ですが、これはコレステロール値を
下げるという働きがあります。
ですので、血中コレステロール値が高い方はかえってイカを食べるといいのです。
それでは、漢方的に見ていきましょう。
性質は平性、潤作用があります。
臓腑では脾、肝、腎に入ります。
五味ではカン味(塩味)、甘味。
効能は、養血滋陰、血を補い、身体を潤します。
補肝腎、つまり肝と腎を補ってくれます。
ということで、”陰虚”体質の方にはピッタリの食材です。
ただし、生や加熱しすぎると消化が悪いので、食べすぎないでください。
もちろん、胃腸の弱い方や消化不良のある方、冷え症の方もそうですね。
軽く煮るのが一番です。
タウリンの分解も抑えられるので、火を通しすぎないで調理するのがポイントです。
イカは加熱するとすぐ堅くなってしまうのですが、
大根と一緒に煮ると、軟らかくてとってもおいしいんですよ!
お試しください。
一時イカスミが流行りましたが、墨は血行をよくする働きがあり、
ホルモンの材料にもなりますので、これもまたいいですね。
最近すたれてきてしまったのか、余り見かけることがなくなりました。
ぜひご自宅で復活させてくださいね。
“陰虚”体質の方、血行が悪い方、
安くておいしいイカをぜひ食べてください。潤いますよ!
さて次回は、少し前にダイエットでスーパーの棚から姿を消した
バナナを取り上げてみましょう。
どうぞお楽しみに!
また次回お会いしましょう。