経絡ヨガ(20100429)
2010-05-01
はじめまして! 鍼灸師の石原幸(いしはら・さち)と申します。
馬場聖鍼堂で週5日、日々臨床にあたらせていただいています。
このたび、このメルマガに新たに川上秀人先生とともに加わり、月に一度、
みなさまにメッセージをお届けさせていただくことになりました。
どうぞよろしくお願いいたします!
私がお届けしていきたいテーマは”鍼灸師が考える経絡ヨガ”です。
“ヨガ”はやったことがない方でもご存じだとは思いますが、
‘経絡ヨガ’という言葉は聞きなれない方も大勢いらっしゃるのでは?
ということで、初回の今回は概要を少し説明をさせていただきますね。
経絡というのは、古来中国を中心に発展してきた東洋医学の考え方で、
気血の流れる道のことです。
経絡は全身を通っていて、たくさんのツボをつないでいるのですが、
体を縦(上下)に流れる、この14本のルート(経脈)に着目したヨガです。
この経脈は陰と陽に分けることができ、その名も肺経・大腸経・胃経・・・・
といったように特定の臓腑の支配下にあるんです。
ですから、特定の経脈が何かの原因で固まったり縮んだりすることで
流れが滞って悪くなり、その経脈に関わる体の不調が表れてしまうと考えます。
私たち鍼灸師はその経絡上のツボへの刺激をして体の不具合の改善を
行なっています。
ツボ刺激によって内臓などの機能が活性化して、本来人間に備わっている
自然治癒力を最大限に引き出しているのです。
こうした鍼灸や各マッサージなどを通して経絡・経穴(ツボ)の効果の有用性は、
いまではみなさんもおぼろげにでもご存知ではないでしょうか。
そこで今後、経絡の性質や関連の病症などを意識し、
経絡へアプローチするヨガのポーズをご紹介して、生活に取り入れて
いただければと思っています。
定期的に鍼治療や専門家のアドバイスを受けつつ、
さらに経絡ヨガのポーズやエッセンスを日常に取り入れることで、
さらなる治療効果が期待できますし、なかなか治療を受けられない時も、
ちょっとしたポーズをとっていただくことで改善の方向に体が動いてくれる
ことでしょう。
実は鍼灸師になるずっと以前からヨガを始めた私ですが、
鍼灸と出会い東洋医学の要素を取り入れるという試みを通して、
この両者は非常に近く似ているもの、いわば動と静の両方から
体を良い方向に導いてくれるものだと感じています。
と、いろいろ語らせていただきましたが、最後にぜひみなさんに取り入れて
いただきたいワンポインドアドバイスをさせていただきますね。
今回は”呼吸法”です。
いきなり経絡的な話ではないように思われるかもしれませんが、
深い関係があるんですよ。
ヨガにおける呼吸法は、普段無意識にしている呼吸ではなく、
意識的に行う呼吸のことです。
空気を取り入れることで、’気’の通り道を浄化し、エネルギーを取り入れる
という意味があるのです。
東洋医学でも呼吸はとても重要。
全身に気血を巡らせる原動力になるのが呼吸なのです。
ヨガには実にさまざまな呼吸法がありますが、日常にぜひ取り入れて
いただきたいのは「腹式呼吸」です。
特に女性は下腹、骨盤腔内に子宮があるため胸で呼吸をしがちですが、
お腹で深く長い呼吸を心がけてみてください。
ヨガには「呼吸の状態は心の状態を表す」という考えがあります。
これは生理学的にも、呼吸法による副交感神経の亢進によって起こる血圧や
心拍数低下が得られることから理解できます。
忙しい現代人は呼吸が浅く早くなりがちですが、逆に言うと深く長い呼吸を
意識的に行うことによって、心の状態を良好に保てる、ということですよね。
長息=長生きとも言います。腹式呼吸で、心と体のバランスを保ち、
健康な毎日をめざしましょう!
次回は川上秀人先生がお送りいたします。お楽しみに!