HOME > メルマガバックナンバー > 【食養生】小麦(しょうばく)と小麦粉(20110224)
こんにちは! はりきゅう師の近藤 琉水です(^^)
春の陽気に誘われてお散歩に出かけたくなりますね。
急にあたたかくなって嬉しい限りですが、花粉症持ちの方にとっては
辛い季節となりました。
今日は食養生についてのお話です。
今回は季節感には欠けてしまいますが、一年中常食されている小麦を取りあげてみます。
小麦は漢方生薬の1つでもあり、「しょうばく」と読みます。
漢方薬に使われる「しょうばく」と、我々が毎日口にするパンや麺類の原料の小麦粉とは
別物と考えてもらったほうがいいかもしれませんね。
小麦は世界の3大穀物の一つ。(あと2つは米とトウモロコシ)
世界で最も多く生産されています。
イネ科の一年草、原産はイランやイラクあたりと言われています。
比較的乾燥した涼しい気候が栽培には適しています。
高温湿潤なところには余り向きません。
漢方生薬としては粒のまま用いられますが、食用としては脱穀して製粉された
ものを使います。
外皮が硬く、中の胚乳はとてももろいので、米のように粒のまま食べるには適さず、
粉にして利用するのです。
ただ、漢方的には小麦自体は無毒ながら、粉にすると小毒とされています。
多く摂り過ぎると毒になりますよ、ということですね。
では、生薬としての小麦(しょうばく)を見てみましょう。
性質は微寒、微温という説もあります。
臓腑は胃、腸、肝、心に入ります。
五味は甘味。
東洋医学的な効能としては、
補益五臓、五臓の機能を高めます。
厚胃腸、胃腸を丈夫にします。
散血止痛、うっ血を改善し、痛みを緩和します。
止吐血鼻血、鼻血や吐血を止めます。
漢方薬として用いられる場合は、のどの乾きを止め、汗をとめ、利尿する作用が
あります。
不正出血を止めるはたらきもあり、それが原因となっている不妊に効果的です。
小麦を使った代表的な処方に甘麦大棗湯がありますね。
子どもの夜泣きにすぐれた効果があることで有名です。
というわけで、なんだかイイじゃない? という雰囲気が漂いだしましたが、
ちょっと待って!
昔書かれた漢方薬の教科書には、決して挽いたり砕いたりせず、
粒のまま用いるように、と注意書きがあります。
つまり、小麦の丸粒に含まれる"ふすま"や胚芽の部分などを取り除いて
粉末にしたら上記のような働きはなくなってしまうということです。
ふすまや胚芽は涼性で、胃腸を丈夫にして消化吸収を促し、
下痢を止める作用もあります。
これはビタミンB1の働きによるところが大きいです。
VB1が不足すると老廃物が蓄積されて疲れやすく、むくみや動悸、
息切れ、イライラなどの精神症状も起こりやすくなります。
糖尿病治療にも役立つそうですね。
ですのでそういった部分を除去して精製しすぎた小麦粉を摂り過ぎると、
皮膚の乾燥や湿疹などのトラブル、お腹の張り、全身の倦怠感、
めまい、下血、手の震えなどもきたします。
小麦粉は温性ですので、食べ過ぎるとさまざまな症状を引き起こします。
花粉症やアトピーなどのアレルギー症状、身体のどこかに炎症がある方は
できるだけ小麦粉製品を除去していくのが賢明です。
パン食やパスタ、ラーメンなどの麺類がお好きな方、要注意ですよ。
できるだけ米飯食にしていくことが大切ですし、
どうしても小麦粉を食べるときは全粒粉を使ってください。
ただ、市販の全粒粉使用をうたっているパンも全体の5%とか10%とか
全粒粉率は非常に少ないものです。
フカフカとふくらんだおいしいパンを作ろうとするとそうなってしまうんですね。
ご自身の食生活をみなおしてみて、小麦粉製品に偏ってるな、と気づかれた方は
ぜひ米中心の内容に修正していってください。
もちろん米も精白米よりも胚芽米や玄米のほうがベターです。
余分な熱をためこまず、これから出やすいお肌のトラブルやアレルギーを予防し、
快適な春を迎えるために大事な食養生です。
がんばっていきましょう(*^^)v
それでは、また来月お会いしましょう。
次回は石原幸先生の経絡ヨガです。
お楽しみに!
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